禁煙外来

 またバレニクリンの服用を始めた。最初の7日までは普段どおり……でなく減煙を意識しつつなら吸ってもよく、8日目から薬が0.5mg増えて完全禁煙に入る。1週間助走してから離陸するイメージだ。ちなみにこの治療を受けるのはこれが3度目で、2013年と2014年に禁断症状の悪化や怠薬で失敗している。

 調べた感じ「一度成功したが半年~1年くらいあとにフラッシュバックでまた吸い始めてしまった」という人はいても、俺のように治療を途中で断念しているケースはほとんどないらしい。当たり前だ。

 

 とにかくたばこには楽しかった記憶や嬉しかった記憶がない。

 どちらかというと肉体より精神の依存が強く、何か強いプレッシャーを感じる場面(「イジメを受けている状態で教室に入る」「何らかの試験を受ける」「面接に行く」など)で事あるごとにすごく早く会場に着き、路地裏でたばこを吸いながら携帯を見ている、ということが多かった。

 要は回避行動として染み付いた薬物への依存であり、大学生や若手社会人が飲み会でヤンチャにワッハッハとか仕事の合間に一服とかいうようなタイプのそれでは元からないし、かといってヤンキーのそれでもなく、とにかく俺は嫌なことや苦しいことから目を背けるためにたばこを吸い始めて、それで結局この歳まで来ている。

 

 1本の燃焼時間は約5分、1箱(20本)の値段は今は460円になった。俺は平均して1日10~15本ほどたばこを吸い、習慣として屋外でしか吸わないので毎日たばこを吸うための外出をしている。かつては実家に犬がいたのでその犬と一緒に歩いていた。

 つまり喫煙習慣によって時間にしてもお金にしても莫大な損失をしているし、「愚かなことをしている、しかし依存によって断つことができない」というのがまた苦痛で、幼年期からの喫煙が自分の決定論的な考え方とか、自己否定的な意識を助長していったのだろうという自覚がある。

 

 ニコチンはれっきとした薬物でその依存を絶つのはそんなに簡単なことではない。経験上8日目からは強い落ち込み、焦り、不安、代替として異常に食べたり飲んだりする、などの症状が出るし、ただでさえ具合が悪いし冬季なのにわざわざこのタイミングで始めなくてもいいだろうという気持ちもある。

 ただこれからもっと強いストレスに継続的に晒されたとき、現状の延長ではたばこを吸わないよう自分をマネジメントするのはおそらく不可能だろうということと、自分を良くしていくためにはいま禁煙がしたい。

 

 つまらないことかもしれないけど、手帳に経過をレコーディングしながら12週間最後まで耐え抜いて、医師からお墨付きをもらえればそれが自信にもなる。思えばマイナスをゼロに戻す作業ばかりしてきた人生だけど、今度は成果を出したい。